その山は、晴れた日に窓を開けるとよく見えていた。そして、登ったのは梅雨明け頃だったと思うのだが、晴れた土曜日か日曜日であった事は確かである。記憶が曖昧なのはアルツハイマーが進行したからではなく、何せ24年前のとても蒸し暑い京都で、いつも頭がボーとしていたからだったに違いない。
どうしてその山に登ろうと思ったかは、その年の3月に結成した山岳会の夏合宿が、8月に南アルプスの北岳で行うと、遠く東の都から連絡が入ったからだ。
『北岳かー。日本で2番目に高い山かー。テント泊で、真夏の縦走だって。でもなー、この3ヶ月間は一人ぽっちだったから、その山の麓の清滝の遊歩道脇にある小石でボルダリングしかしてないし、山なんて歩けるのかなー』と考えると、『今度の休みにボッカ訓練をしないといけないよ』と、もう一人の自分が呟いたのだった。
『山か、山ならいつも見えている山を歩けばいいな。ボッカならやっぱり30kgは必要なんだろう』と、前日に空のペットボトル数本に水道水を入れ、後は重そう物、たぶんダンベルやクライミング用具などをザックに詰め、体重計で30kgを確認までもするなんて。なんて無謀な、若気の至りと言うやつでしょうか。
案の定、部屋からバス停までは100m程の距離なのに、辛いのなんのって。でも、当時は若かったんでしょうね。溢れ出る汗でビショビショになったTシャツを何度も絞りながら登り切り、下りも数kgだけ軽くなっただけのザックを背負っての京都初登山となったのでした。
今回は、その同じ山、京都市の最高峰であり、京都市民に最も親しまれていると言われる愛宕山を、24年ぶりに登ってきました。
朝6時に自宅を出発。先ずはUさんを拾い、そして、名神高速の岐阜羽島ICで途中下車をし、K先生を拾って、また名神高速に乗り直し、京都へ向かった。紅葉シーズンは終わったらしく快調に走り、京都南ICで降りた。
ちょっと道を間違えたが、カーナビに導かれるままに嵯峨野の観光地の細い道に入り込んだ。あれ、いいのかなと思いながらも一方通行の道だったのでそのまま走ると、突然
見覚えのあるトンネルが現れた。そして、信号待ちの後、トンネルを抜けると清滝に到着した。
駐車場の向かいの橋を渡ると愛宕神社参詣表登山道の大きな看板があった。その矢印の方向に歩いて行くと鳥居があり、山歩きの開始となりました。
鳥居をくぐると、直ぐ脇の家の壁に温度計が掛かっており、見ると7℃だった。そして、登り始めはやや急な登山道だったが、石や木で階段となっており段差もあまり大きくないので、やはり神社の表参道そのものの様である。
そして、30分程歩くと休憩所があり、小休止をすることになった。そして、すぐ横には茶屋跡の案内板が立っており、宿泊が出来たとある。こんな登り口から近いところで泊まったなんて何とも不思議だ。
とても歩きやすい道だ。それと、登り口からどれだけ登ってきたかの表示板が嵯峨野消防団によって立てられているので、現在地点が分かりやすい。
先ほどの休憩所から2つ目にあたる7合目の休憩所でまた小休止となった。この休憩所の正面は開けた所で、京都の市街地がよく見渡され、展望台となっていた。
私はUさんから借りた双眼鏡で渡月橋を確認したのだが
K先生は肉眼でもよく見えているらしく、視力検査で2.0はよく見えるらしいのだが、いったいどれだけあるんだろうか。
38/40まで来た。山頂付近にある神社を近くに感んじられる雰囲気が漂っている。石段を登って行くと、高校生らしき一団が下りて来た。何かの部活なのか、でも、皆おしゃべりをしながらバラバラに歩いているので、トレーニングでもなさそうだ。
40/40を通過した。
そして、私一人だけ少し早く神社の境内に到着した。一部ぬかるんだ所があり、靴で踏むと氷が割れた。
そのまま進むと、右に三角点の道標があり、正面が石段になっていた。どうも本殿が山頂らしい。
24年前に来た時は境内までだったと思うのだが、今回は山頂まで行きたかったので、3人で石段を登り切ると左に社務所、右に休憩所があり、そして、10m程先に本殿が見えた。12時半、到着。
約2時間の登りで、ここの気温は2℃だった。
お参りをした後、休憩所に入ると薪ストーブがあり、とっても暖かい。そして、Uさんが黄色のバナナケースから1本のバナナを出すと、そこにいた人達からいろいろな質問をされ、『つぶれないし、ほとんどの大きさのバナナが入るからいいですよ』と答えていた。
暫く休憩した後、外に出ると寒い。いったん暖かい所で体が温まってしまったので余計に寒く感じるらしい。
ゆっくりと下り、7合目の展望台から再度京都の市街地を見ると、午後になって太陽の角度が変り、登りの時よりもはっきりと見えた。
そして、登りの時に最初に休んだ休憩所でも小休止をし、1時間半位で清滝の駐車場に到着した。
冬の京都と言えば湯どうふ。
2km程の距離にある観光名所でもある渡月橋に向けてまたトンネルを抜けた。観光客で混雑する嵯峨野のメイン道路を走り、渡月橋のすぐ脇にある土産物屋さんの駐車場に車を止めた。もうすっかり紅葉は終わっているが、平日にもかかわらず多くの観光客の人がいて驚いた。
それにしても24年前とはすっかり変ってしまった。当時は渡月橋の周りに、春や秋の
観光シーズンは人がいたが、それ以外はそれ程人もいなかったし、それに店だって数軒だけだったのだ。
だって、この混雑している道から入ってすぐの所で、当時は新築のアパートに1年間住んでいた訳ですから。
ともあれ、湯どうふを食べ、嵯峨野の竹林を見て、お土産を買うという観光客になりきり、日が傾き始めた頃、渡月橋を後にしたのです。
登り2時間、下り1時間半ということは合計で3時間半。山歩き再開となった大菩薩嶺と同じではないですか。まったくもって偶然ですね。
これで今年の山歩きは終了です。
次回は、来年の雪解けの奥多摩からになるのかなと考えています。
- 2008/12/28(日) 17:15:16|
- 山歩き 2008
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